2014年6月15日日曜日

横丁に立った日


岩波少年文庫の石井桃子さん訳のくまのプーさん読みました。
今ではプーといえば羽生選手のティッシュカバー、もしくはブライアン・オーサーコーチのことを思い出し、あのおっとりしたおじさん声のアニメも思い出します。それとはすこし違った小説でのプーは小さい頃にみていたプーと少し違っていて驚きました。

クリストファー・ロビンは父の作った空想の自分、と遊ぶプーと、現実では動かないぬいぐるみのプーを同一視できるところがトッテモイイと思いました。それは昔はできていたこと(私は万年夢見がちなので今でもしますが)の象徴である気がします。この空想の遊びはプロの小説家である彼の父によって具体化された現実だとクリストファー・ロビンは思っています。父親に「僕はこのあとどうなるの?」や「僕はふうせんをつかまえたんだね」と尋ね、経験したはずのない空想を、自分の過去に起きたこと思っている。それがなんとも愛おしくってたまりません。

作中でプーはひたすらおばかな存在として描かれます。昔見た印象だとクリストファー・ロビンはお利口な子供でみんなをまとめる役なんて感じでしたが、小説での彼は年相応に傲慢ちきでおばかさんでとってもかわいい。
「かわいくてしかたがないというふうに「おばかなプー」と呼んでいて」と彼にとってプーは守らなくてはいけない存在なのか、対等な友達なのか、私にはまだ理解できていない部分ですがナントモいいです。
それら全てが切なくって、昔からいたキャラクターとしてのプーさんと、クリストファー・ロビンのプーとの違いがトッテモよく分かって、なんだか泣きたくなりました。ワー児童文学の底はカナリ深い!

挿絵がすきです。過度にデフォルメされていなくて動物がトッテモいきいきしている!一巻であるくまのプーではすべてが心地よくって、全部描かれていなくて、私たちが想像で描いてある線の隙間から、違う生き物が発見できそうです。二巻ではきっちりと作り込まれていました。私は一巻の絵がとても好きで、みえにくいところはみえにくいままでいい、と言われていたことは本当だったんだなと思いました。


岩波少年文庫をもっと読んでいきたいと思いました。

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